
ショートステイには、さまざまな人生を歩まれてきたご利用者様が日々訪れます。私はそのひとりひとりに、施設で過ごす時間が「ほっとできるひととき」であってほしいと願っています。現場では業務に追われ、人手が足りず思うようにいかない場面もあります。けれども、「ご利用者様ファースト」という信念だけは、どんなときも心の中心に置いています。笑顔の数だけ介護の質がある—それを信じて、毎日20人のお世話に全力を尽くしています。
私が勤務するショートステイ施設には、毎日約20名のご利用者様が生活をされています。年齢も背景も異なる方々が、一時的に同じ時間と空間を共有するその場所で、私は「癒しのひととき」を提供できるよう日々努力しています。
もちろん、現場には限られた人員と時間、さまざまな業務があり、理想通りにすべてを進めることは容易ではありません。それでも、「ご利用者様ファースト」という私の信念だけは、決して揺らぐことはありません。お一人おひとりの表情、声のトーン、しぐさに注意を払いながら、できる限り寄り添ったケアを心がけています。
ほんの少しでも笑顔が見られたとき、「今日もよかった」と思えるのです。この笑顔の積み重ねが、ご利用者様との信頼を育み、私自身のやりがいとなっています。
愛犬ニコちゃんのしっぽは、まるで心のバロメーターのようです。嬉しいときは勢いよく、落ち着いているときは穏やかに揺れ、寄り添うときは静かにそっと動きます。その動きには、言葉を超えた感情が宿っているように感じます。介護の現場でも、ご利用者様の表情やしぐさから気持ちを汲み取ることがあります。ニコちゃんのしっぽが教えてくれた「言葉にしない優しさ」こそが、私のケアの根底にあるものです。動物と人との絆が、介護に通じるやさしさの形を教えてくれました。
愛犬ニコちゃんのしっぽを見ていると、その動きの一つ一つが「感情の言葉」なのだと気づきます。喜び、不安、安心—しっぽは話さずとも、それらを伝えてくれるツールのようです。
介護の現場でも、ご利用者様が発する非言語のサインに気づけるかどうかが、ケアの質を左右すると感じています。言葉にならない不安や、身体の違和感、あるいは心の寂しさ。それらを汲み取ろうとする姿勢こそが、「優しさ」の本質ではないでしょうか。
ニコちゃんのしっぽから学んだのは、思いやりとは“伝えたい”ではなく“気づこうとする”こと。動物と人とのふれあいは、介護にも通じる深い示唆を与えてくれます。私のケアには、今日もニコちゃんのしっぽの知恵が、そっと息づいています。
仕事を終えて家の扉を開けると、そこには全力でしっぽを振るニコちゃんの姿があります。一瞬で疲れが吹き飛び、「あぁ今日も頑張ってよかった」と思える時間です。ニコちゃんがくれる無償の愛情に癒されながら、私自身もニコちゃんにたくさんの愛情を注いでいます。お互いに、ただそこにいるだけで心が安らぐ。この関係の中に、優しさの根っこがある気がしています。私はニコちゃんとの時間から、日々の介護にも通じる「思いやりの本質」を学び続けているのです。
仕事を終え、帰宅すると、玄関でしっぽをぶんぶんと振りながらニコちゃんが迎えてくれます。「おかえり!」という無言の全力アピール。その瞬間、心にたまった疲れがすーっとほどけていくのです。
家庭では、私は完全に“ニコちゃんファースト”。その存在が、私の生活においてどれほどの癒しと再生をもたらしているか、言葉では言い尽くせません。ニコちゃんが見せてくれる純粋な愛情に包まれながら、私もまた愛情を注ぎます。そのキャッチボールは、穏やかで優しい時間を作り出します。
その中で私は、優しさとは「大切に思う気持ちを形にすること」だと、少しずつ学んできました。ニコちゃんとの生活は、介護の現場でも活かせる「心の整え方」を教えてくれています。
介護の現場でも、家庭でも、誰かを思いやる気持ちはきっとつながっている——そう感じながら、今日も私はニコちゃんと歩いています。優しさの意味を考え続ける日々が、少しでも誰かの心に届きますように。
杉山カピバラです。58歳、介護職5年目。“ご利用者様ファースト”の信念を胸に、日々ショートステイ施設で奮闘中。家に帰ればニコちゃんファースト。人にも犬にも優しくありたいと思いながら、生きるって面白いと感じる毎日を綴っています。